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年収が高いほど保険は不要になるのか?高収入者が見落とす3つのリスク

「稼いでいるから保険はいらない」は本当か。収入が上がっても減らせない保障と、資産が増えることで初めて不要になる保険を、状況別に整理します。

「収入が増えたから保険を減らした」——これが合理的な判断になる場合もあれば、重大なリスクを見落としている場合もあります。高収入者が保険を考えるときの落とし穴と、正しい判断軸を整理します。

「収入が高いから保険が不要」は半分正しい

収入が高いと保険が不要になる部分は確かにあります。

収入・資産が増えることで「不要になる保険」の例:

  • 医療保険:貯蓄が十分にあれば、高額療養費制度との組み合わせで入院費用は自己対応できる
  • 就業不能保険:6〜12カ月分の生活費が貯蓄にある場合、短期の就業不能は保険なしで対応できる
  • 収入保障保険:子どもが独立し、資産も十分にある場合、死亡後の生活費補填は不要になる

保険は「自己資金で対応できないリスク」をカバーするものです。資産が蓄積されれば、保険が必要な場面は確かに減ります。

ただし、「収入が高い」と「資産が十分ある」は別の話です。

年収1,000万円でも、毎月の生活費が高く・住宅ローンがあり・貯蓄がほとんどないという状況は珍しくありません。「収入が高いから大丈夫」という判断は、資産水準を確認してから行う必要があります。

高収入者が見落とすリスク①:必要保障額も大きい

高収入であるほど、「自分に万が一があったときの家族の損失」も大きくなります。

必要死亡保障額の考え方:

必要保障額 = 遺族の生活費 × 年数 ー 遺族年金・資産

年収800万円の人が亡くなった場合、遺族が同等の生活水準を維持するためにはそれだけの資金が必要です。年収400万円の人より必要保障額が大きくなるのが通常です。

特に「共働きではなく、自分だけが稼いでいる」「専業主婦(夫)の配偶者と子どもがいる」場合、死亡保障の必要額は収入に比例して増えます。

遺族年金は実際いくらもらえるかで確認できますが、遺族基礎年金・遺族厚生年金の給付額は収入の一部しか補填しません。

高収入者が見落とすリスク②:就業不能時の生活費水準

収入が高いと、就業不能になったときの「生活水準の低下」も大きくなります。

傷病手当金の上限:

傷病手当金は月収の2/3が支給されますが、支給額には上限があります(標準報酬月額98万円が上限)。年収1,400万円超の高収入者でも、傷病手当金は月65万円程度が上限です。

さらに、高収入者ほど:

  • 住宅ローンの返済額が大きい(月20〜30万円以上も)
  • 子どもの教育費・習い事などの支出が多い
  • 生活費の固定費が高い

就業不能になった場合でも、これらの固定費は変わりません。傷病手当金だけでは不足する可能性があります(→ 就業不能保険の選び方:免責期間と保障額の決め方)。

高収入者が見落とすリスク③:貯蓄の「流動性」と「実質額」

「資産が多い」と感じていても、実際に緊急時に動かせる流動資産(現金・普通預金)はどの程度あるかを確認する必要があります。

資産の種類と流動性:

| 資産の種類 | 緊急時の使いやすさ | |---|---| | 普通預金・定期預金 | すぐに使える | | NISA(株式・投資信託) | 売却できるが市況に左右される | | 不動産 | すぐには現金化できない | | iDeCo | 原則60歳まで引き出せない | | 退職金(未受取) | 退職まで受け取れない |

不動産・iDeCo・退職金は「将来の資産」であり、今すぐ使える資産ではありません。緊急時に対応できる流動資産が少ない場合は、高収入であっても保険の役割が残ります。

収入が高くても見直せない保険

資産水準にかかわらず、以下の保険は高収入者でも有効なケースがあります。

死亡保障(扶養家族がいる間)

専業主婦(夫)の配偶者・子どもがいる場合、死亡保障は資産が増えるまでの「つなぎ」として機能します。必要保障額が大きい分、掛け捨ての定期保険・収入保障保険でカバーする方法が合理的です(→ 定期保険と収入保障保険、子育て中ならどちらを選ぶべきか)。

賠償リスクへの備え

個人賠償責任保険は、偶発的な事故で高額の賠償責任を負うリスクをカバーします。賠償額は収入・資産水準に関係なく発生します。自動車保険・火災保険の特約として安価に付加できます。

高収入者が保険を「減らせる」タイミング

保険を整理・削減してよいタイミングの目安:

死亡保障を減らせるとき:

  • 子どもが独立した(教育費・生活費の補填が不要になった)
  • 住宅ローンを完済した
  • 金融資産が遺族の生活費を十分カバーできる水準になった

医療保険を減らせるとき:

  • 流動資産が200万円以上あり、高額療養費制度との組み合わせで入院費用を自己対応できる
  • 会社の付加給付(法定外福利厚生)で追加の医療補填がある

就業不能保険を減らせるとき:

  • 流動資産が生活費の12〜24カ月分を超えている
  • 配偶者も安定した収入があり、どちらかが働けない期間を二人の収入で支えられる

保険を解約してもいいか迷ったら確認する5つの問いも参考になります。

高収入者が陥りやすい保険の「過剰加入」

収入が高いと保険の営業ターゲットになりやすく、「貯蓄性の高い保険」を勧められることが多くなります。

見直しを要する商品の例:

  • 変額保険・外貨建て保険:運用と保険のコストが高く、NISAより実質的に不利なことが多い
  • 高額な終身保険:返戻率が高く見えても、長期間保険料を払い続けるキャッシュフローへの影響が大きい
  • 特約の積み上げ:収入が高いからこそ「念のための保障」を追加されやすい

終身保険の実態については終身保険の「貯蓄性」は本当にお得か?返戻率の正直な見方で整理しています。

高収入者が保険を整理するときは「今の資産水準で自己対応できるリスクは何か」を起点に考えることが重要です(→ 保険より貯蓄を先にすべき人の条件:入る前に確認する4つのチェック)。

まとめ

高収入であることは「保険が不要になる方向」に働きますが、自動的に不要になるわけではありません。必要保障額も大きくなること・就業不能時の生活費水準・流動資産の実態——この3点を確認してから保険の整理を行うことが重要です。「収入が高いから」ではなく「流動資産が十分だから」が保険削減の正しい判断軸です。

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