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公的保障を深く知る約7分

遺族年金は実際いくらもらえるか?自分のケースで概算する方法

「遺族年金がある」と知っていても金額を把握していない人がほとんど。自分の場合にいくら受け取れるか概算する方法と、民間保険で補うべき不足額の考え方を解説します。

生命保険に入る前に確認すべきことがあります。「もし自分が亡くなったら、遺族にいくら遺族年金が入るか」——この金額を把握せずに死亡保障を決めると、過剰か不足かどちらかになります。

遺族年金には2種類ある

日本の遺族年金は「遺族基礎年金」と「遺族厚生年金」の2層構造になっています。

遺族基礎年金(国民年金から)

国民年金に加入しているすべての人が対象です。ただし支給されるのは子どもがいる家族のみです。

  • 支給対象:18歳未満の子どもがいる配偶者、または子ども本人
  • 支給額(2025年度)
    • 配偶者分:月約6万8,000円(年816,000円)
    • 子ども加算:1人目・2人目は月約1万9,600円、3人目以降は月約6,500円

子どもがいない夫婦の場合、遺族基礎年金はゼロです。

遺族厚生年金(会社員・公務員の場合)

会社員・公務員は厚生年金にも加入しているため、遺族基礎年金に加えて遺族厚生年金が上乗せされます。これが個人事業主(国民年金のみ)との最大の違いです。

支給額の計算式:

遺族厚生年金 = 亡くなった人の老齢厚生年金の報酬比例部分 × 3/4

「老齢厚生年金の報酬比例部分」は簡単に言うと「在職中の平均収入と加入期間で決まる額」です。ねんきん定期便に記載されている老齢厚生年金の見込み額(65歳受取)の3/4が目安になります。

ねんきん定期便で確認する

毎年届く「ねんきん定期便」に、現時点の加入実績に基づく老齢年金の見込み額が記載されています。そこに書かれた「老齢厚生年金」額の3/4が遺族厚生年金の概算です。ねんきんネットでも確認できます。

ケース別:遺族年金の概算

具体的なケースで見てみましょう。

ケースA:会社員(年収500万円)・子ども2人

  • 遺族基礎年金:月約8万7,600円(配偶者分 + 子ども加算2人分)
  • 遺族厚生年金:ねんきん定期便の老齢厚生年金見込み額 × 3/4(仮に月10万円 × 3/4 ≒ 月7万5,000円)
  • 合計概算:月約16万円前後

ケースB:会社員・子どもなし

  • 遺族基礎年金:ゼロ(子どもがいないため)
  • 遺族厚生年金:月約7万5,000円(上記と同様の仮定)
  • 特例:40〜64歳の配偶者には「中高齢寡婦加算」月約4万円が上乗せ(有期)
  • 合計概算:月約7〜11万円

ケースC:個人事業主・子ども2人

  • 遺族基礎年金:月約8万7,600円(会社員と同じ)
  • 遺族厚生年金:ゼロ(厚生年金未加入)
  • 合計概算:月約8万7,600円

同じ「子ども2人」でも、会社員と個人事業主では月7万円以上の差があります。

遺族年金で足りない分を民間保険で補う

遺族年金の概算がわかったら、次のステップは「足りない分を計算する」ことです。

必要な民間保険の死亡保障額 = 遺族の生活費総額 − 遺族年金総額 − 貯蓄・資産

遺族の生活費の目安

生命保険文化センターのデータによると、遺族(配偶者+子ども)の生活費は現在の世帯生活費の約70〜80%が目安です。

例:現在の世帯生活費が月30万円 → 遺族の必要生活費は月21〜24万円

計算例(ケースA:会社員・子ども2人・末子が5歳)

  • 末子が18歳になるまで13年間の不足額
  • 月必要生活費:22万円
  • 遺族年金(上記概算):月16万円
  • 月不足額:6万円
  • 13年間の総不足額:6万 × 12カ月 × 13年 = 936万円

この場合、1,000万円前後の定期死亡保険があれば、遺族年金と合わせて必要な生活費をカバーできます。

遺族年金の「受け取れない条件」に注意

遺族年金には受給要件があります。以下の場合は受け取れないことを知っておきましょう。

  • 保険料納付要件を満たしていない:亡くなる前の一定期間(直近1年間など)に未納があると支給されないことがある
  • 婚姻関係がない:事実婚でも要件を満たせば対象になるが、条件が複雑
  • 子どもがいない配偶者の遺族基礎年金:支給されない

保険の基礎知識で説明しているように、公的保障は「必ず出る」ではなく「条件を満たせば出る」ものです。要件を確認したうえで、民間保険の必要額を判断しましょう。

遺族年金と生命保険の組み合わせ方

  • 子どもがいる会社員:遺族年金(基礎+厚生)でかなりカバーされる。死亡保障は差額補填として比較的小さめで済む場合も多い
  • 子どもがいない会社員:遺族厚生年金のみ。子どもがいる場合より保障が薄くなる
  • 子どもがいる個人事業主:遺族厚生年金がゼロのため、生命保険での補填が重要
  • 子どもがいない個人事業主:遺族基礎年金もゼロ。配偶者への保障を民間保険で全額補填する必要がある

結婚したら保険を見直すべきか?子どもが生まれたら保険を見直すべきかでも述べているように、ライフイベントのたびに遺族年金の受取額と必要保障額の両方を再計算することが大切です。

まとめ

遺族年金は「あること」より「いくら出るか」を把握することが重要です。ねんきん定期便で老齢厚生年金の見込み額を確認し、その3/4を遺族厚生年金の概算として使いましょう。遺族年金で足りない分だけを民間の死亡保険でカバーする——これが生命保険の正しい設計の出発点です。

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