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NISAと学資保険どちらを先にすべきか:実質利回りで比較した正直な結論

学資保険・終身保険の貯蓄部分とNISAを、実質利回りと資金の柔軟性で比較します。「どちらが得か」ではなく「どちらを先にすべきか」の判断基準を整理。保険で貯蓄する前に確認すべきことを解説。

「学資保険より新NISAの方がいい」という話が増えています。実際に利回りを比較すると差は明確ですが、「どちらが得か」よりも重要な問いは「自分の状況でどちらを先にすべきか」です。正直な比較と判断基準を整理します。

「保険で貯蓄」の仕組みと現実

保険の貯蓄機能には主に2つの形があります。

① 学資保険:子どもの教育費を積み立てる目的の保険。一定期間払い込んで、子どもが高校・大学入学時に満期金が受け取れる。

② 終身保険の解約返戻金:保険料を長期間払い続けると、解約時に払込総額を超える返戻金が受け取れる貯蓄機能。

いずれも「払った以上に返ってくる」と説明されますが、実質的な年利回りに換算すると話が変わります。

利回り比較:保険 vs NISA

学資保険の実質利回りの例(月1万円・18年払い):

| 項目 | 金額 | |---|---| | 払込総額 | 216万円 | | 満期金(返戻率105%の場合) | 226.8万円 | | 増加額 | 10.8万円 | | 実質年利回り | 約0.3〜0.5% |

同じ条件でNISA(インデックス投資)の場合:

| 年利 | 18年後の想定残高 | |---|---| | 3% | 約285万円(+69万円) | | 4% | 約308万円(+92万円) | | 5% | 約333万円(+117万円) |

NISAはあくまで運用であり元本保証はありませんが、長期積立で年利3〜5%を期待できるインデックスファンドと比較した場合、保険の貯蓄機能の利回りは大幅に見劣りします。

終身保険も同様

終身保険の返戻率が110%でも、実質年利は0.3〜0.5%程度になることが多い。NISAとの差は18年間で100万円以上になりえます。

流動性の違いも重要

利回りだけでなく、お金を引き出せるかどうかも重要な比較軸です。

| 観点 | 保険(学資・終身) | NISA | |---|---|---| | 途中引き出し | 解約返戻金として受け取れるが、払込期間中は大幅な元本割れ | いつでも売却して引き出せる | | 用途の柔軟性 | 教育費・満期時のみなど目的が限定されることがある | 何にでも使える | | 解約の自由 | 途中解約は損になる設計 | 手数料なし・タイミングを自分で決められる |

保険は「途中でお金が必要になった場合に損をする」設計です。18年後に満期が来る前に、急にお金が必要になる事態(病気・転職・住宅購入など)が起きたとき、保険では柔軟に対応できません。

保険の貯蓄機能が合理的なケース

それでも保険で貯蓄することに意味がある場面はあります。

① 強制貯蓄の仕組みが必要な場合 「自分では続けられない」「使ってしまいそう」という人にとって、払込義務のある保険は強制的な積立手段になります。自己管理できる人はNISAの方が効率的ですが、続けられなければ意味がありません。

② 確実に決まった金額を確保したい場合 子どもの大学入学費用を「必ず300万円用意しなければならない」という状況で、投資リスクを取りたくない場合は、元本超過の確実性に価値があります。

③ 保険料控除の節税効果を活用する場合 生命保険料控除は年間4万円が上限の所得控除です(一般生命保険料の場合)。ただし、節税効果(実際に戻る税金)は数千円〜2万円程度であり、保険料の差額を上回ることは通常ありません。

NISAを先にすべき人の条件

以下に当てはまる場合は、保険の貯蓄機能より先にNISAを活用することが合理的です。

  • 18年以上の長期積立ができる(子どもが生まれた直後から始めるなど)
  • 急な出費に対応できる緊急予備資金がある
  • 投資の仕組みを理解していて、相場の上下に動揺しない自信がある
  • 保険料負担によって月の貯蓄余力が減っている

新NISAの非課税枠(2024年〜):

  • 年間360万円まで投資可能(成長投資枠+つみたて投資枠)
  • 非課税で運用・引き出しができる恒久制度

18年間・月1万円を積み立てると、年利3%でも学資保険より60万円以上多くなる可能性があります。

「NISAと保険の組み合わせ」という考え方

保険とNISAは二択ではなく、組み合わせ方が重要です。

推奨の順序:

  1. 01死亡保障を掛け捨ての定期保険で確保(安く)
  2. 02緊急予備資金(3〜6ヶ月分)を確保
  3. 03NISAで長期積立を始める(教育費・老後資金)
  4. 04保険の貯蓄機能は補完的に(強制貯蓄が必要な場合のみ)

保険で「守る」と貯蓄で「増やす」を分離することで、保険料を最小化しながら資産形成の効率を上げられます(→ 保険より貯蓄を先にすべき人の条件)。

学資保険をすでに持っている場合

加入済みの学資保険は、払込期間中の解約は元本割れになる可能性があります。すでに払込期間の後半にある場合は解約せず満期まで続ける方が合理的なケースが多い。保険を解約してもいいか迷ったら確認する5つの問いで判断基準を確認しましょう。

まとめ

実質利回りと流動性の観点では、長期積立の手段としてNISAが学資保険・終身保険の貯蓄機能を上回るケースがほとんどです。「保障は定期保険で安く確保し、貯蓄はNISAで効率よく」という分離が基本戦略です。強制貯蓄の必要性・確実性へのニーズがある場合に限り、保険の貯蓄機能を補完的に活用しましょう。

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