保険整理ナビ

保険整理ナビ/記事/状況別の整理

状況別の整理約6分

在宅勤務中のケガは労災になるのか?テレワーカーが確認すべき保険の3つの変化

テレワーク中の事故が労災と認められるケースとそうでないケースがあります。在宅勤務で変わる保険の考え方——労災・火災保険・就業不能リスクの3点を整理します。

「自宅で仕事中にケガをしたら保険はどうなるのか」——テレワーカーが直面しやすいこの疑問に、正確に答えられる人は多くありません。在宅勤務で変わる保険の考え方を3つの視点で整理します。

在宅勤務で「保険環境」が変わる3つの変化

テレワークへの切り替えで保険に関係する主な変化は以下の3点です。

  1. 01労災保険:自宅での業務中・移動中のケガの扱いが変わる
  2. 02火災保険:自宅を仕事場として使うことで補償範囲に影響が出る場合がある
  3. 03就業不能リスク:通勤がなくなることでリスクの性質が変わる

それぞれを順に整理します。


① 労災保険:テレワーク中のケガは労災になるのか

労災と認められる基本条件

労災保険が適用されるのは「業務上のケガ・疾病」です。テレワーク中であっても、業務と因果関係があるケガは労災の対象になります。

在宅勤務中で労災になりやすいケース:

| 状況 | 労災の可否 | |---|---| | PC作業中に腱鞘炎・腰痛が悪化 | 業務起因性が認められれば○ | | 書類を取りに立ったときに転倒 | 業務に付随した行為として認められやすい | | 業務中に階段から落ちてケガ | 業務行為中として認められる場合あり | | 昼休み中に調理中でケガ | 休憩中の私的行為として×になりやすい | | 業務時間中に私用で外出中のケガ | ×(私的行為) |

「業務遂行性」と「業務起因性」の判断が難しい

オフィス勤務では「業務中か否か」が比較的明確ですが、在宅では仕事と私生活の境界が曖昧になりがちです。

厚生労働省のガイドラインでは、テレワーク中の労災認定には「①業務を行っていた時間帯に発生したか」「②業務に関連した行為として認められるか」の2点を判断基準としています。

労災申請のポイント:

  • 業務開始・終了時刻を記録しておく(勤怠ツールのログなど)
  • 業務命令・指示の内容を記録しておく
  • ケガの状況・場所・時刻を正確に記録する

会社員・フリーランスで扱いが異なる

会社員(雇用されている人): テレワーク中でも原則として労災保険の対象。ただし認定は個別判断になるため、疑問がある場合は会社の担当部署か労働基準監督署に相談します。

フリーランス・個人事業主: 労災保険は原則として雇用関係がある人のみが対象です。フリーランスは「特別加入制度」に自ら加入しなければ、業務中のケガに対して労災の保護がありません(→ フリーランスが考えるべき保険の整理)。

フリーランスでテレワーク中のケガリスクに備えたい場合、傷害保険または就業不能保険の必要性が高まります(→ 傷害保険は必要か?医療保険・労災保険と補償が「ダブる」前に確認すること)。


② 火災保険:自宅を仕事場にすることで変わること

住宅用火災保険は「業務用途」を想定していない

一般的な住宅用火災保険は、個人の生活リスクを補償するために設計されています。そのため、仕事用の設備・書類・機器への補償は限定的または対象外になるケースがあります。

確認が必要なポイント:

| 項目 | 住宅用火災保険の一般的な扱い | |---|---| | 個人所有のPCが火災で損壊 | 家財として補償される場合が多い | | 会社支給のPC・設備が損壊 | 業務用物品として補償対象外になることが多い | | 自宅オフィスの什器 | 契約内容により異なる(要確認) | | 取引先資料・業務データ | 補償対象外が一般的 |

会社支給の機器が壊れた場合

会社支給のPC・モニターなどが火災や水害で壊れた場合、その損害は会社側の保険(企業財産保険など)が対応するのが原則です。ただし補償範囲や免責については会社のポリシー次第なので、テレワーク規定を確認しておくことが重要です。

業務用機器は会社の総務・管理部門に確認

テレワークで使用している会社支給機器の損害補償については、会社の規定や保険内容によって異なります。事前に確認しておくと、万一の際の対応がスムーズです。

火災保険の見直し時のポイント

自宅を主な仕事場として使う場合、火災保険の契約内容を一度確認することを推奨します。特に以下の点は見直しの対象になりえます(→ 火災保険で損しないための選び方:補償範囲の落とし穴と削っていい特約)。

  • 家財の補償金額が現在の生活実態(業務機器含む個人所有物)に合っているか
  • 水漏れ・破損などの特約が必要か

③ 就業不能リスク:テレワークで変わる「休業リスク」

通勤がなくなることでリスクの性質が変わる

通勤中の交通事故は、会社員が業務外の就業不能リスクにさらされる代表的な原因の一つでした。テレワークで通勤がなくなると、このリスクは大幅に低下します。

一方で変わらない・高まるリスクもあります。

| リスク | テレワーク後の変化 | |---|---| | 通勤中の事故 | 低下(通勤がなくなる) | | 業務中のストレス・メンタル系疾患 | 変わらない(むしろ孤立感でリスクが高まるケースも) | | 腰痛・肩こりなどの慢性症状 | 長時間同じ姿勢での作業で増加する場合がある | | 感染症・疾病 | 変わらない |

会社員はまず傷病手当金の条件を確認

会社員がテレワーク中に病気・ケガで働けなくなった場合でも、傷病手当金の受給条件は変わりません。最大18ヶ月・月収の約2/3が支給されます。

就業不能保険に加入している場合、免責期間(支給が始まるまでの待機期間)を傷病手当金でカバーできているかを確認します(→ 就業不能保険の選び方:免責期間と保障額の決め方)。

フリーランスのテレワーカーは就業不能リスクが高い

フリーランスのリモートワーカーは傷病手当金がなく、ケガや病気で働けなくなったときの収入補填がゼロになります。

就業不能保険は、フリーランスが最優先で検討すべき保険の一つです(→ 会社員が本当に必要な保険はどれかとの比較で、公的保障のギャップを確認してください)。


テレワーカーが確認すべき保険の整理

| 確認項目 | 会社員テレワーカー | フリーランスリモートワーカー | |---|---|---| | 業務中のケガ | 労災対象(業務起因性が必要) | 特別加入or傷害保険が必要 | | 火災保険の家財補償 | 自己所有機器のみ確認 | 業務機器の補償も確認 | | 就業不能時の収入補填 | 傷病手当金→就業不能保険 | 就業不能保険が最優先 | | 重複加入の確認 | 労災×傷害保険の重複を確認 | 保険全体の重複を確認 |

重複している保険がないか、定期的に確認しましょう(→ 保険料を二重に払っていないか確認する:重複加入の6パターンと自分でできる整理方法)。

まとめ

テレワーク中のケガは「業務遂行性・業務起因性」がある場合に労災と認められます。フリーランスは労災保険の適用外なため、傷害保険・就業不能保険の検討が必要です。火災保険は自宅兼事務所としての家財補償を確認し、就業不能リスクは傷病手当金の有無で必要な備えが変わります。

関連記事

在宅勤務への切り替えで保険の過不足が生じていないか、診断ツールで確認できます。

保険必要度診断を受ける
保険整理ナビ編集部

Webエンジニア・個人運営。保険は「整理してから比べる」をコンセプトに情報を発信しています。

プロフィール →