子どもが2人いる共稼ぎの30代夫婦は、「保険の必要性が最も高い年代」のひとつです。どちらが亡くなっても、どちらが働けなくなっても家族の生活が回るような保険設計が必要です。具体的な考え方と優先順位を整理します。
なぜ子ども2人・共稼ぎ30代は保険の優先度が高いのか
この状況に当てはまる家庭の特徴:
- –子どもが自立するまでの期間(20年前後)が残っている
- –住宅ローンを抱えているケースが多い
- –共稼ぎのため、どちらか1人の収入が消えると家計が一変する
- –まだ貯蓄が十分に積み上がっていないことが多い
「どちらが亡くなっても、残された方と子ども2人の生活が成り立つか」——この問いへの答えが、保険設計の出発点になります。
必要保障額を計算する考え方
必要保障額は「もし今日亡くなったとして、残された家族が生活していくために不足する金額」です。
基本の計算式:
必要保障額 = 遺族の生活費(子どもが自立するまで)
+ 教育費(子ども2人分)
+ 住宅ローン残高(団信がない場合)
− 配偶者の収入
− 遺族年金(概算)
− 現在の貯蓄・金融資産
シミュレーション例(夫が亡くなった場合):
| 項目 | 金額の目安 | |---|---| | 遺族の生活費(子ども2人・妻・20年分) | 約4,800万円(月20万円×12×20年) | | 教育費(私立ではない想定) | 約1,400万円(700万円×2人) | | 住宅ローン残高 | 団信で消滅(加入前提) | | 合計必要額 | 約6,200万円 | | 遺族厚生年金(会社員の場合) | ▲ 約2,400万円(月10万円×20年概算) | | 妻の収入(20年分) | ▲ 約9,600万円(月40万円×12×20年) | | 現在の貯蓄 | ▲ 300万円 | | 差し引き必要保障額 | 約▲4,100万円(保険不要の試算) |
この計算では「共稼ぎで妻の収入がある」「団信で住宅ローンが消える」「遺族年金がある」という前提により、死亡保障が不要になるケースが出てきます。
ただし、以下の点に注意が必要です:
- –妻が育児や介護で収入を落とす可能性がある
- –子どもが私立を選んだ場合の教育費は2人で2,000〜3,000万円以上になることがある
- –「月40万円の収入が続く」という前提が崩れたときの備えが必要
共稼ぎ2人とも保険が必要な理由
共稼ぎでも「妻の分は不要」と考えがちですが、子ども2人がいる場合は妻側も保険が必要になるケースが多い。
妻が亡くなった場合のリスク:
- –夫が子ども2人を育てながらフルタイムで働けない可能性がある
- –保育・家事の外注費用(月10〜20万円)が発生する
- –キャリアダウンで収入が下がる可能性がある
収入保障保険・定期保険は夫婦ともに加入を検討すべき状況です(→ 定期保険と収入保障保険、子育て中ならどちらを選ぶべきか)。
保険の優先順位
以下の順番で整理することを推奨します。
優先度①:死亡保障(夫婦ともに)
最も優先度が高い。自分の収入に依存している家族がいる状態で、死亡保障がないのは最大のリスクです。
推奨する保険の形:収入保障保険
月々の生活費を補填する保険で、子どもが自立するまでの期間(例:20年)を保障期間に設定します。まとまった死亡保険金より、毎月の生活費として受け取れる収入保障保険の方が、多くの家庭では合理的です。
保険料の目安:30代・20年保障・月20万円の保障で月々3,000〜5,000円程度(健康状態による)。
優先度②:就業不能保険(主に世帯収入の多い方)
死亡より、病気・ケガで働けなくなる「就業不能リスク」の方が発生確率が高い。
会社員なら傷病手当金(最大18カ月)がありますが、住宅ローン・子どもの教育費など固定支出が多い場合は傷病手当金では不足することがあります。
免責期間を長めに設定(60〜90日)すると保険料を抑えられます(→ 就業不能保険の選び方:免責期間と保障額の決め方)。
優先度③:医療保険(状況に応じて)
高額療養費制度により月の自己負担には上限があります。貯蓄が300万円以上あれば、医療保険の優先度は下がります。
子ども2人の医療費については自治体の医療費補助(多くの自治体で小学校卒業まで無料)でカバーされるケースが多いため、子ども向けの保険は不要なことがほとんどです。
「保険の見直し」タイミング
子ども2人・共稼ぎ30代の保険は固定ではなく、状況に合わせて更新が必要です。
| タイミング | 見直すべき内容 | |---|---| | 住宅を購入したとき | 団信加入を確認し、死亡保障を減額する | | 子どもが独立したとき | 死亡保障を大幅に削減または解約 | | 貯蓄が1,000万円を超えたとき | 医療保険の必要性を再検討 | | 転職・収入変化があったとき | 就業不能保険の保障額を見直す | | 配偶者の収入状況が変わったとき | 必要保障額を再計算する |
よくある「やりすぎ」パターン
子どもが生まれた後に保険を「足す」方向にだけ動くと、過剰な保険料になりやすい。
確認しておくべき「削れる保険」の例:
- –独身時代に加入した医療保険(貯蓄が増えた今は不要かも)
- –加入から年数が経ち、保険料が割高になっている終身保険の特約
- –同じリスクを二重にカバーしている保険(団信+死亡保険など)
重複加入の確認は保険料を二重に払っていないか確認するを参照してください。
まとめ
子ども2人いる共稼ぎ30代の保険は「死亡保障(夫婦ともに)→就業不能保険(主に世帯主)→医療保険(貯蓄と照合)」の順で優先度を設定します。共稼ぎだから死亡保障が不要とは言えません。必要保障額を「遺族年金+配偶者収入+貯蓄」で差し引いた金額で設計し、状況が変わるたびに見直すことが重要です。
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子どもの人数・収入・貯蓄額を入力して、今の家庭に必要な保険の優先順位を整理できます。